2013年06月22日

しなやかにしたたかに


渡辺淳一 2004年


《しなやかに したたかに》
わたしの人生で
一番輝いていた40代の頃
ある会報に、
この題でエッセイを寄せたところ
驚くほどの反響があった
その後、ますます好きになった
私の座右の銘

図書館をウロウロしていたら
同名の書があるではないか face08







【以下 抜粋】

「元気な人は鈍い人」です。
そして、「健康な人は何も感じない人」です
そしてそれは素敵なことです
難しい情報や複雑な数字をいっとき捨てて、自分自身はどういう生き物で、何を望んでいるのか、
その基本に立ち返り、昨日より少しだけ楽に生きてみましょう。
すべてにおいて、あまり真剣に考えず、
いつもハンドルの遊びくらいは残しておきたいものです。


「バツイチ」から「マルイチ」の時代へ
離婚歴のある人を、「バツイチ」といわず、むしろ貴重な体験をつんだのですから、
「マルイチ」といってもいいと思います。むろん二回離婚した人は二重丸というように。
実際、アメリカなどでは、まったく「ノー・プロブレム」なのですから。

保守的な男性 革新的な女性
女性の肉体は一生の中で、いくたびもの「革命」を体験します。
初潮 処女喪失 妊娠 出産と、男には真似できない肉体の大波を体験し、最後に閉経を迎えて、革命はようやくおわります。
このように体の変化自体が革命的で、それ故に思考や発想も、きわめてラディカルで革命的であるのです。

人生の最後の十年とか二十年の生きかたが、その人の一生がよかったかそうでもなかったか、
それを決めるキャスティングボートを握るだけに、
この年代の生きかたを真剣に考えるようにしたいものです。

~~~~~~~

今、わたしは残り20年ほどの、人生の終盤を迎えて
こぉ~んな人生が用意されていたのかと
畏れと、感動と、感謝の日々なのです face02 icon06 face06
  
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2012年12月18日

ネーミングがモノを言う


あの東京タワーが国の有形文化財になったと先日報じられた
この本はこの秋に図書館の新着本で借りて読んであったが、
記事になかなかできないうちに、早や年末になってしまった

著者は 東京スカイツリー名称検討委員会メンバーであり
言語学を専門とする学者である


ネーミングがモノを言う、ホントだね

名前を一般公募した場合、上位にランクインしたものを自動的に採用してしまうのは
必ずしも最良の方法ではないという
名前に品格があり、100年後も日本を代表する建築物にふさわしいのか

「東京タワー」の場合は、当時小五の女の子の発案で、13位だった
昭和の高度成長期のシンボルとして
平凡こそ最高なり、とは委員メンバーだった徳川夢声氏の言葉

では、「東京スカイツリー」の場合は?
世界でも1・2を争う高さを誇るデジタル電波塔の
イメージや特徴を世界中の人にわかりやすく、なおかつ発音しやすいものであるか
最終結果、「東京EDOタワー」と僅差で「東京スカイツリー」に決ったそうである
自然との調和の象徴としての存在感
かつての木場であり、木と緑のある立地から
空に向かって伸びる木のようなタワーは、人々の心が集う場所になるし
まさに、東京のエネルギーを糧に生える大樹である
(上位に大江戸タワー、みらいタワー、ゆめみやぐら、ライジングイーストタワーetc)

う~~ん、なるほどぉ~ 今更ながら、「東京スカイツリー」が一番センス良いね☆

たとえば、人気の「くりぃむしちゅー」「いきものがかり」
「クリィムシチュー」では気取った感じで、お笑いコンビとしては?
「生き物係」ではねぇ・・・
「AKB48」は長目の名称の頭文字をとって記号化することで多くの情報を盛り込んだ成功例という
でもね、この真似かな、若者の間のやたらと省略アルファベットの蔓延には閉口した
年寄りはついていけな~い、いや、ついて行きたくもないけど・・・・

今では、施設名がスポンサー企業の名称に変えられて久しいが

長野では 「ホクト ホール」
松本では、遅ればせながら 「キッセイ ホール」
最初は2003年、東京スタジアム 味の素スタジアム
5年間の契約金は12億円だったという
片や運営資金に、片や広告効果を期待して icon22
最初に提案した方は今ごろ icon22. アイディア勝ちだね

 先日 ユーミンコンサートに行ったついでに            飯田 朝子 単行本
 東京スカイツリーに上ったと言って                     ¥ 1,260
 職場の同僚がお土産をくれた
 なかなか抽選に当たらないほど まさに人々の心が集まっているね icon06



    
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2012年11月07日

天下の 「雨敬」


そう愛称で呼ばれている御仁を わたしははじめて知った(恥)
講演会で興味がわき その人の伝記小説を読んでみたくなって diary

       先日 長野詣での折 福寿荘さんへ宿泊した
       lilyさんとmikoさんとも嬉しい再会 face02
       お二人とも お忙しい中を駆けつけてくださって icon16 face06 

たまたま その夜 福寿荘さんでは講演会があった
「江宮隆之」氏 
あの映画「白磁の人」の原作者だという

映画を観たわよ~って 
映画の話かなぁって
lily さんと二人で会場へ

話題は主に信長、秀吉、家康だったから
わたしでも興味深く聞くことができた         
とりわけ、「天下の雨宮」初耳だったけれど、ものすご~い立志伝じゃないか face08


  書籍コーナーでのお薦めは 残り少ない「オンマ」だったが
  わたしは迷わず買っちゃったね~ 小学校以来の伝記小説 face10
  これが なっかなか面白くて 
  帰宅してから一気読みだった



東京のインフラ開発を成したのは、この雨敬を含む甲州財閥だったそうな face08
「鉄道王」とも言われ、熱海や中央線開通しかり、
さらには軽井沢の大規模開発、総持寺の移転
まさに偉業というに相応しい仕事の連続だ

その始りは?というと
14歳の時に 父親から与えられた1両で鶏卵の行商をはじめたことによる
不屈の根性 で波乱の人生を痛快に乗り切る
一夜にして億万長者になったかと思えば
翌日にはすべてを失ってしまう繰り返しの相場師時代を経て
国家経済にも関わるようになり、
伊藤博文という大政治家と知己となって、国民の為にという気持ちが増大
国有鉄道という持論を展開してゆく

この人が偉いのは、私利私欲を肥やす前に、
国のため、世のため、人のためになるような実業家をめざしたことである
政治の伊藤博文 金の安田善次郎 事業の雨宮敬次郎
と、 明治の三傑にあげられているとは 知らなんだぁ face07
今の政治家にこそ、読んで感銘してもらいたい本だね


う~ん、この雨宮敬次郎にしても、「白磁の人」の浅川 巧にしても
わたしが知らなかったというだけで
こぉ~んなにも徳ある人格者が、あの激動の時代を生きていたんだぁ


福寿荘さん こんなこともするのね face02


更に驚かされたことに
地元の名士さんたちがズラリ
その後の懇親会でのあいさつで
市長さん~ 国会議員さんまで face08
この宴会は盛り上がったね
作者の歌はプロ級だし
オリジナルのお酒とお料理
なによりも ステージでの女将さん姉妹には があるもん icon26 face02


夜空には 満月に近い月が 福寿荘の上に
木星を従えて煌々と輝いていました icon12
  
タグ :映画


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2012年06月16日

「ひとり旅」 串田孫一

     昨日の昼 
     太陽の周りにこんな虹の輪が出ていて
     う~ん 日の暈が出ててはなぁ face07
     案の定 雨のため本日の上高地行きは延期










過日 本を大量に買取してもらった それでもたったの1万円にしかならない icon11
でも わざわざ出向いてなんでもかんでもすべて持ってってくれたから いいや icon23

串田孫一、懐かしいなぁ (何冊かハネておいた本の一冊)
エッセイスト 登山家 哲学者 
このヒトのエッセイを独身時代に 好んで読んでいたから・・・

私の独身時代 同僚たちとよく登山したものである
折々に氏のエッセイを読み その語り口のものやわらかさ 感性に惹かれ
いったいどういう心がこのような本を書くのか 当時は知るスベもなく
ただ 《串田孫一》 という作家の名をしっかり刻み付けただけだった

この本のどのページにも旅した土地の風景スケッチが載っている
多才なヒトだったんだねぇ☆
   (松本市民芸術館の館長兼芸術監督の串田和美氏は息子)


以下抜粋

私の旅は寂しいものでなければならない。行く先々で心細くなるような、
そういう旅を続けなければならない。そして旅が終わっても、適度の心細さが
いつまでも私の周囲にひろがり漂っているように。
旅なれることは、旅を楽にするが、そのために発見を少なくするおそれもある。
不安は、いい旅をする大切な要素である。

私は名所めぐりや文学散歩風の旅は苦手である。
そういう結びつきによって感動したためしはない。
私は私で、他人とは関係なしに、風景を発見し、思い出を創るだけ。

ここは草野心平さんの郷里である。このあたり全体は、
阿武隈の老年の山で、老いて行く自然の風格が感じられた。

晴れ渡って富士がすっかり見えているよりは、はるかに上等だった。
音楽的な、交響曲的な風景だと思った。こういう風景との出会いは
自分の感情の、こせこせした皺を一度にのばしてくれるようにも思った。

   美ケ原高原の夕映えの部分も感動的に書かれている
  私も月末一泊の予定だけれど、そんな夕映えシーンに会いたいものである
  この頃の美ケ原の緑の美しさ☆ 洋服生地をなぞるように触れてみたくなるw




 別の本の 春夏秋冬を詠った詩も その感性に惹かれる


「草原に埋もれ、忘却の楽しみにひたり、片雲に幻想を託し・・・。
私がここにいるということしか分らなくなる秋草の原だ」 秋の詩

 そして「雪の匂い。積もっている雪はもう匂わない。
雪は空中を飛ぶ間生きていて、お互いに匂いで探り合っているけれど、
一度離れた雪片は、もう恐らく二度とめぐり合うことはないだろう」 冬の詩



  今朝 衝動的に氏の本を2冊 amazon で注文してしまった face02


  
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2012年04月06日

わら一本の革命


  《 人生観が変わった 》  
  震災を体験した被災者たちの言葉である  
    人生観が変わるほどの経験を
    人は一生の間にどれほどできるのか
    今こそ 読んでみたい本☆ 
 
  この本は ロハスみなみさん の記事で知って
  そのときから興味津津、やっと図書館から借りてicon10


私自身は耕すべき田畑をもっていないけれど
あの有吉佐和子の『複合汚染』が注目を浴びていたころ
私は結婚し 子育てと生協活動のスタートラインに立っていた
《子どもたちのために》という大義名分があったから、真剣に活動してたわぁ(懐し)

たとえば、1ヶ月早くミカンを食べたいって どういう心なんだろう
薬漬けの果物を生むだけなのに icon09
早生 形 綺麗 美味 甘味・・・・消費者の要求か?
消費者のひとりである私はそのどれも望んではいない
ならば ほかの多くの消費者の望みなのか?
生産者側の思惑だって当然あるでしょ?

たとえば高額な「農耕機」を導入して田畑を耕し、化学肥料を使って土壌を豊か?にし
農薬で害虫や雑草を駆除する。確かに収穫が上がり、収入も増えるでしょう。
でも高コスト体質であり、収入の割には支出が余りにも多くなってしまう。
土壌を貧困にさせてしまうから、今の野菜は『生命力』が弱く、すぐに腐っちゃう。

≪引用≫
   人間は自然を壊せても 自然をつくることはできない。
   盲人が玩具をいじって壊すようなものである。

   自然にまかせておいて 自然の力にすがってさえおれば
   自然に従った生活さえしておれば  人間は生きられるようになっているんだ
   という確信をつくることが先決、原点なのである。


この本は 私が子育てに追われていた頃に出版されている(35年前)
その後の35年間の時代の急激な変わりよう face07
ここまで変わってきてしまったら・・・・とても受け入れがたい説だと思う
でも 大企業化した農業は別として 個人で志す人は増えてくるんじゃないかなぁ

ロハス南さんが しっかりまとめて記事にしていますから(安曇野いっぱい百姓さんも) 
興味のある方 そちらを覗いてみてね icon23
  
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2011年10月24日

読書

  2000年発売 (ぶんぶんさんからの借本) 
  本作は、絵画に狂わされた人間たちを描いた物語
  である。ファン・ゴッホ幻の作品が、もしも存在
  したら。8枚目の「ひまわり」―が明らかになると
  ともに,ストーリーはハードにアップテンポに展開し
  ていく。ひょっとしたら百億円を超えるかもしれない
  幻の名画をめぐって,ヤクザとの息詰まる攻防戦。

  ファン・ゴッホ作の『ひまわり』を安田火災が落札、
  同『医師ガシェの肖像』をある個人が落札したと
  いうニュースに驚いた日を思い出させる。。当時
  の日本は、バブル経済の真っ只中。

目的も理由も明らかにされぬまま,主人公の周囲で確実に「何か」が動き始める。それと並行しながら,主人公の過去が―自殺した妻英子との過去が語られていく。
どんでん返しの繰り返しだ。スピードと構成に定評ある藤原伊織。好きな作家である。
面白かったけど、わたしとしてはヤクザの登場ということでちょっと引いてしまうなぁ face07


  こちらは  藤原伊織にしては ちょっと意外な叙情的?短編集
  6作品からなるが 表題の「雪が降る」がやはり一番良かったワ

  母を殺したのは、志村さん、あなたですね。
       少年から届いた短いメールが
       男の封印された記憶をよみがえらせた。

ちょっと小腹が空いて サンドウィッチでもつまんでみようか的な気分で
軽~く読めた
藤原伊織にしては意外な作品で 未だに違和感が残るぅ face07
やはりこの作家は長編にこそ本領発揮だな
早すぎた死が惜しまれる face06



ロシア語通訳者である「米原万里」は
ユーモアのセンス抜群   
彼女との出会いはもうかなり以前の
読売新聞の日曜版の連載だった
とにかく面白い連載で
好感度もどんどん上昇 face02 

この本はわたしには小難しい歴史が
語られていて
その辺は飛ばして(読んだと言える?)
一ヶ所抜粋を ↓

 ロシアの小咄

天寿を全うしたブレジネフ書記長は、当然の成り行きとして地獄に落ちた。
入り口のところで門番が待ちかまえていて、注意する。
「ブレジネフさん、地獄に来た以上、必ず罰を受けなくてはなりません。
書記長とて逃れるすべはありません。ただし、どんな罰を受けるかは、
選択できる仕組みになっています。自分で見て選びなさい」
そう言われてブレジネフは、地獄を一通り見学した。
すると、レーニンは針の山でもがき、
スターリンはグツグツ煮えたぎる釜の中で悶えていた。
ブレジネフは思わず身震いをしたほどだ。
ところが、なんと向こうのほうではフルシチョフがモンローと抱き合っているではないか
ブレジネフは手をたたいて叫んだ。
「これだ。わたしにもフルシチョフ同志と同じ罰を与えてもらいたい」
地獄の職員が言った。
「とんでもない。あれはフルシチョフではなくて、マリリン・モンローが受けてる罰ですぞ」
                  (ロシア小咄集『独裁者たちへ!! 』講談社)

  
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2011年10月03日

ゴールデンスランバー(TVドラマ)

土曜ドラマを見た icon13
本屋大賞をとったこの原作を夫婦で読んであったから (記事)
楽しみに期待しすぎていたからか

う~ん 期待ハズレ face07
得体の知れない国家権力が出番多すぎて 
(香川照之は充分気味悪く、好演していたというべきだけど)
どぎつ過ぎるじゃない あまりにも非現実的!
原作を読んだときは近い将来の現実かと思わせられたが・・
日常生活に潜む落とし穴の恐怖とはちょっとかけはなれているわ

主人公のハラハラドキドキの逃亡劇があまりにもぎこちない
このあたり原作の展開のすばらしさに改めて感心した
主人公の友人役の吉岡秀隆が良かったね 名演技だと思った face02 




  今年もホトトギスが
  たくさん咲いた
  白花の方が毎年早く咲くが
  鳥のホトトギスに似ていると
  いう命名の由来からすれば
  赤茶色の花の黒い横縞模様
  があってこそのホトトギスだね


  これは昨日の朝 

  太陽の右に薄い幻日が見える(このところ朝夕に薄いけれど幻日はよく見られる) 

  


Posted by うたかた夫人  at 06:28Comments(14)読書

2011年08月20日

裁かれざる罪を暴く

  スケールの大きな作品に定評のある作者
  読み応えのある本は 盆と正月に読むのだヮ

     【天の方舟(はこぶね)】
     服部真澄 著
     2011 年7月発行
     講談社


 【ストーリー】
途上国開発援助ODAを実行する「開発コンサルタント」に就職した黒谷七波。国際支援の美名のもとに、巨額のリベートが落ちるシステムを知り……。お金をこの手に。それが彼女の願いだった。京大卒、女性ながらに開発コンサルタント重役にまで出世、怖いものなしの栄転、大抜擢。光を浴びて輝く黒谷七波を襲う悲劇。


たとえば あのマルコス大統領の不正蓄財は?
国際援助資金といって集まってくるお金を食いものにして icon08 
受注額の15%が大統領に 5%が側近にリベートとして渡ったという
20%といったって額が! 1千億円だよ face08
日本からフィリッピンへの支援金は累計で5千億円を越えていた
もともと 支援金は途上国のインフラ開発のためのもの
その開発の実行部隊として日本のゼネコンや商社が開発国からの受注を得るために
相手国の 政府高官に賄賂合戦を くりひろげる
その賄賂分も込み込みでビッグプロジェクトの予算はたっぷり上乗せされるのだ
もちろんゼネコンや商社も濡れ手に粟式に お金の湧き出る泉 の水を汲む
とんでもないことだよね それってわたしたちの税金なのだからさ icon09
古い話だけれども のっけからこういう話題
日本の "戦後の目ざましい復興 " にしても 
アメリカや世銀からの支援や融資によった のだ
新幹線も高速道もダムも・・・わたしなんか国民がガンバッテ作ったと思い込んでいたヮ
 
主人公は2000年前後の ベトナム開発 に深く関わりながら
国際支援にまとわりつく裏金のシステムを 自らも利用しつつ 告発してゆく icon05 icon16
ベトナムに建設中の橋が落ち 多くの作業員が犠牲になったが
日本ではさしたるニュースにもならず 明らかな責任をも問われなかったからである

時代は移って 国内外の役人に対する贈賄罪にも法律が変わってきてはいるが
中国や欧米諸国に遅れがちなこの国の支援システムを指摘して本は終わっている
告発と同時に提案も☆ それがわたしが作者に注目する所以なのである
7月に発行されたばかりなのに しおりが入っていた  
もちろん わたしは1週間で返本したわよ icon23icon10

さて、この「方舟」とは?
やはり あの「ノアの方舟」からでしょうね
神は地上にふえた人々の悪行をみて
洪水によって滅ぼすという 旧約聖書のお話

驚いたのは あのベトナム戦争のときの枯葉剤のこと
枯葉剤は 化学兵器として使われたのではなくて
ゲリラたちの隠れ蓑になっていたマングローブの森を
枯らすためだったという face08

国際援助やボランティアの裏面を覗いてしまったら
誰しもそういう美名に懐疑的になるわねぇ
ひところボランティアの身分証?をぶら下げて
1軒1軒寄付に回ってきた若い子たちが 
そういえばこの頃はとんと・・・face07


   
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Posted by うたかた夫人  at 13:00Comments(13)読書

2011年08月10日

「存在の美しい哀しみ」

んっ? このタイトル face04
『存在の耐えられない軽さ』 なんて映画を
思い出させるじゃあないか
図書館へリクエストしに行った折
その本が届くまでの繋ぎの1冊を物色中
タイトルに惹かれて借りてきた
(実際 この映画の話題も登場していた)

わたしは小池真理子の本は3冊目かな
まぁ 好きでも嫌いでもない作家だ
軽~く読んだけど・・・
内容はどうということもない
いかにも小池ワールドを印象づけるセンテンスは
コレ  2度ほど 繰り返されて
《人はけもののように交わって子をなし、育てて一生を終える》

ただ 作風がね
こういうのが流行りなんだろうか (2010 年4月発行)
ひとつの出来事を その場に居合わせた何人かの視点で 書き分けている
先日読んだ 今野 勉の「隠蔽捜査」 しかり (続編の発売は2010 年1 月 )
2008 年3月の 映画 バンテージ・ポイント
(この映画では こういう作風にはじめてお目にかかったので目を瞠ったが)

3度目は 正直それほど斬新さに打たれないわね face10

   【訂正】 今野 勉さんは今野 敏さんの誤りです(がんじいさんから指摘されて) 

 8 / 11 追記
  今朝から スズムシが鳴きはじめた。文字通り 鈴をころがすようない~い声
  3日前から1匹づつ羽がでてきていて今 3匹 うち鳴いてるのは1匹だけ
  画像はやめておくね。ゴキブリを連想する人がいるらしいから face07
  (先日 庭にツマグロヒョウモンを見つけた。あの越冬したイトトンボも face08


  


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2011年07月24日

万葉びとのロマン


 図書館でなに気に借りた本
 初心者向けなやさしい解説に
 すっかり気に入ってしまって
 amazon で古本を注文

 20年前の本なのに
 写真が美しくて驚かされた
 カメラは今でこそ進化著しいが

 古代の万葉びとの豊かな情趣
 『万葉集は不滅の文化遺産』と 



万葉の歌に登場する植物は150種ほどあって
なかで観賞用の花は20%ほどで 他は生活に役立つ植物だという
食用 薬用 衣料 染料 建築材にもちいられていたという
ほとんどが観賞用の現代とちがって 生活に密着していて味わい深い

歌一首か長唄にまつわる植物の両方を平明に説明してくれる
私が好きで庭に植えた植物も登場してるので万葉びとのロマンを偲んでみたくなる

たとえば 今が盛りの「ヒオウギ」 古代人は「ぬばたま」と呼んでいた
ヒオウギの種子が艶のある漆黒の丸い実なので 黒とか髪の枕詞になっている
(万葉古名と今の和名とが違う場合も多く 戸惑っちゃう face07

居明かして 君をば待たむ ぬばたまの わが黒髪に 霜はふれども
   (あなたがお出でになるまで私は待っています。たとえ夜が明けても、
    わたしの黒髪が白くなるまででも、待っています。
    だからかならず来てください)

   

この花が懐かしくて何年か前に道沿いに咲かせている方から譲ってもらった
でも どうしても名前がわからない face04
やっと一昨年 ネットで検索していてわかったときの嬉しさ!
「檜扇」 「緋扇」 「ヒオウギ」 名前もステキだね face05
  
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2011年05月27日

畏敬の念

  なんか懐かしいような装画だなぁと
  手にとってみたら
  それもそのはず《東山 魁夷》だわ

  私にとっては久しぶりの文学作品
  このところ娯楽モノばかりで愉しめた読書

内容紹介(出版社著者より)Amazonより
阪神淡路地区を大地震が襲った日、36歳の仙田希美子の平穏な人生も崩壊を始めた。夫は地震の直後に愛人のもとへ行き、姑もその存在を認めていたのだった。離婚を決意した希美子は、両親や妹たちに支えられ再出発をはかる。やがて、学生時代に知り合った老婦人、毛利カナ江から奥飛騨の広大な森と山荘を相続し、息子二人と移り住むことに。  現代に希望の光を与える大作。阪神・淡路大震災が奪ったのは、たくさんの生命だけではなかった。20世紀、多くのものを喪った我々に希望の光を与える文芸大作。


ふと手にしただけなのに タイムリーだったわね
阪神淡路大震災の朝からこの本はスタートする
《地球のうなり声》という表現で
3.11の列島を震撼させた報道はまだまだ生々しく続いているが・・・

なかなか魅力的な人物が何人も登場してくるけど
私にとっての一番は やはり「毛利カナ江」だな
なにしろ昭和の初めに 不退転の意志をもって生きた 凄い人である
この人を巡るミステリィを解き明かしてゆく物語とも言えるのである



すべてを受け入れて動じず・・・・
すべてを包み込んで動じず・・・・

直径1m以上にもなっている巨木 
楠と欅と翌檜とトチ 数種類の若木に細い蔓が巻きつき それぞれ一緒に大きくなって
相手を包み込み、呑み込み、を繰り返しながら
見たこともないひとつの生き物として融合しあっている巨木
この樹が主役かもね
必然的に主人公の希美子の影は薄くなるが
こういう人は 周りの人を引き立てるのだろうな
人は それぞれに役割分担すればよいのだわ


主人公の妹の毒舌はグサッてくるよ face07
【抜粋】 上は大臣から下は村会議員まで、そのほとんどが金の亡者。
公務員は事なかれ主義。
国民は、人間としての行儀とか教養を積まないまま大人になって
自分よりさらにレベルの低い子を産んで、
その子たちがさらにレベルの低い子を産むの・・・
この日本て国は 、もうおしまいね

この国を動かしている人たちは、いろんなことに対して畏敬の念ないんだとおもうよ。
宇宙てものに対する畏敬、大自然への畏敬、優れた藝術への畏敬


今回の大震災は はるかに比べ物にならない規模だったけれど
孤児たちの同様の悲劇は推して知るべしと思う
読了後は 作者の慈愛のまなざしを感じられる本である face02


   ☆ 本日 入梅宣言 早っ! ☆
  
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2011年05月14日

「竜の道」 白川 道

  お前は表舞台で輝け。
  俺は裏社会を支配する。

  これから、おまえとおれは太陽と月だ。
  おまえは常に 世間の脚光を
  浴びる生き方をしろ。
  おれは夜の世界に君臨する        




  コレは面白かった!

  ハードボイルド作家白川道
  知らなかったぁ
  だいたいハードボイルドには
  馴染みがなかったけれどね

  新聞広告のキャッチコピーを見て
  図書館で手にし
  1ページ読んだだけで 即 借り!
  導入部分が凄いのだワ
  映画の1シーンを見ているようだ
  まさに 悪の華  
  それも とてつもなく魅力的な・・・

  夫も面白くて一気に読了したようである


  「飛翔編」てあるから続編もある筈よね
  2009 年9月発行から まだ・・・
  続編が楽しみだぁ~face02

  
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2011年05月13日

「孤舟」渡辺淳一

    【内容紹介】 -amazonより

定年後の夫婦の形を見つめる、異色の長編小説
 大手広告代理店を定年退職、バラ色の第二の
 人生のはずが、威一郎を待っていたのは、家族
 との深い溝だった。
 娘は独立、妻は家を出てしまう。威一郎は、
 デートクラブに入会し、ある女性に出会うが・・・。




駄作とはこのこと icon09
およそ氏らしからぬ・・・(もともと私はファンでもないけど)
あまりに陳腐なストーリー展開に辟易してしまって読書が進まない face07

私は本を読んだり映画を観る前に レビューを見ることは まずない!
でも今回ばかりはねぇ。。。
いったいどんなレビューが? この本読了する価値がある?
レビューも辛辣なのがいっぱいあったワ
不評でした (全国紙の書評欄を書いていたのは誰だっけ)

主人公は時代の先端をいく大手広告代理店の役員常務だったんだよ
世相にもう少し長けていてもおかしくはないでしょ
もっと言わせてもらえば 
年収ウン千万の現役を去ったからって(職探しで月収20万では1/10 以下だと)
充分な潤いがあるはず
亭主在宅ストレス症候群なんて言ってないで
社会性のある亭主なんだからさ そこはふたりで生活を愉しむというふうに
ふたりが話し合っていけばぁ~icon14
すべてが 贅沢でわがままだと決め付けるのは 私がしがない庶民だから?


「孤舟」というタイトルだけだね 良かったのは
こういうのは図書館に限るわぁ
  
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2011年04月06日

お聖さんの「古典まんだら」


  田辺聖子の古典まんだら〈上〉(下)
  [単行本]  新潮社
  田辺 聖子 (著)
  2011 年 1 月 発行



図書館に行くと まず入口横の「新着本」棚を見る
一番乗りで借りられる気持ちの良さ (しおりを見ればわかるネ)
今回は コレ お聖さん~face02 まっさらだぁ~
古典ものはお聖さんと寂聴さんの解説が好きだから 迷わず手に

読んでいくと これが面白いのだわ
   恋のベテラン・・・・・・・・・・・・和泉式部
   女はやっぱりしたたか・・・・・今昔物語集
   死ぬときはいっしょだぞ・・・・平家物語
   この世の地獄を見た・・・・・・方丈記
   院、どうしたの・・・・・・・・・・・とはずがたり 
   物をくれる友がいちばん・・・徒然草
   Uターンして第二の人生・・・芭蕉・西鶴・一茶

「とはずがたり」という日記は初耳だった
それもそのはず 公開されたのが昭和15年ということで
その内容は驚くべきもの、ショッキングなので秘本として門外不出だったらしい


購入しようかと思ったが 25年前にお聖さんの「小倉百人一首」を
買ってもっているのだわ(上下3800円の立派な本)
今回は 歴史を追いつつ 系譜をメモりながら
じっくり読むことができた(って1ヶ月近くも借りちゃって face07)
そこにあの大震災 face08
ドキドキ胸が痛む日々に 読書どころではなく(何もできないが)
いつもなら 雅な王朝文化にうっとり?するところながら
さすがに この動乱期の様相を呈しているご時世では
「平家物語」「方丈記」「芭蕉」などが興味深かった

  奢る平家は久しからず

盛者必衰
琵琶法師の琵琶の音にのせて語られる「平家物語」を
当時の人々はどんな気持ちで聞いたのだろうか

組織の一極に権力が集中すると 「過剰環境」になっていくのが常らしい
あのNHKも 銀行も JALも お寺 大学もしかり
企業の吸収合併が盛んになっているのは競争に勝つためであって
そこにも「過剰環境」のブラックホールが口を開けていないとは言えまい
自浄作用はいつでも必要なのだ 組織にも 個人にも

揺らぐ大地の上に暮らす宿命を思えば
人間の作った法則よりも先にあった自然の法則に逆らうことなく
高度! 高度! 高度!
と連呼 賞賛するのはそろそろ止めたいものだと思う


  
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2011年02月25日

うとんじられる父

  内容 (Amazon.co.jp より)
父親をテーマにつづった公募エッセイの中から、作家の宮本輝が33編を厳選した作品集。10代から70代までの老若男女が、素朴な文章でありながら、父親との大切な記憶を真摯(しんし)に語っている。溺れる子どもを救った父親が、巨人のように大きく見えたという「寡黙な背中」。初めての社員旅行用にと、背広を用意してくれた父の優しさに思いを馳せる「心を染めてくれた父」。自らも父親を題材に据えた大河小説『流転の海』を執筆する宮本の選出だけに、父と子が織り成す人生のドラマを叙情豊かに切り取った佳
                                   品が並んでいる



しみじみと涙をさそうエッセイ集です
一話づつ 夜に朝にとベッドで読みやすいのだけど
涙をながすと大変だぁ まぶたが腫れちゃうし 目は充血 icon11
外に出られなくなっちゃうぅ~(それにしても涙もろくなったわ)
私にしても 実父には忘れられないヒドイ言葉を。。。icon10

以下は宮本輝が「はじめに」書いていることからの一部の抜粋です


それにしても、父とはなんと子からうとんじられる存在であることか
酒はのまない。博打にも手をださない。暴力をふるうこともない。愛人をつくったりもしない。ただ寡黙に働きつづけて、楽しみといえば、テレビでプロ野球中継を観るか、たまの休日に釣りに出かけるくらいなのに、それでも子はある時期、父をうとんじる。
会話がない。気が利かない。面白味がない。理解がない。地味で融通が利かない。
見栄えが悪くて、・・・等々、その理由は際限なくあるらしい。
妻や子のために、下げたくもない頭を下げ、疲れた心身に鞭打って、ひたすら働きつづける父にしてみれば、誠に間尺に合わない扱いである。
だが、古今東西、これが「父」というものであるらしいのだ。
・・・特別の不満もなく、確執もない。それなのになんだか近くにいるとうっとうしい・・。

子が、その父の揺るぎない核にやっと触れ得るためには、いかんともしがたく歳月の浄化を必要とすることも、33篇のエッセイによって教えられる。

どのような父であろうとも、父から放たれているものは蛍光灯の白々とした光ではないようだ。その光度に強弱はあっても、父たちが放つものは、家のなかのあちこちどころではなく、子の人生にも微妙な陰翳を深く刻む自然光だと言えるかも知れない。



    ~~~~~~~~~~~~~~~

  昨日は 久しぶりに美しいレンズ雲を見た face02


  
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2011年02月20日

アテンション

  「悩む力」
  姜尚中(カンサンジュン)さんの本を
  1冊と思って 読んでみました
  2008年5月発行
  (同年9月にはリーマンショックが起きた)

  文豪・夏目漱石や社会学者・マックス・ウェーバ
  ーを題材に「悩むことの意義」を描いている。
  悩むことで自分の中の内なる力に目覚める。
  それこそが、生きる力や創造性につながると説
  く。


序章 今を生きる悩み
第一章 私とは何者か
第二章 世の中すべて金なのか
第三章 知っているつもりじゃないか
第四章 青春は美しいか ・・・・無垢なまでにものごとの意味を問うことだ
第五章 信じるものは救われるか・・・・「一人一宗教」「自分が教祖」
第六章 何のために働くのか・・・・「他者からの、そして他者へのアテンション」
第七章 変わらぬ愛はあるのか・・・・愛とは その時々の相互の問いかけに応えて
                      いこうとする意欲のこと
第八章 なぜ死んではいけないのか
終章  老いて最強たれ・・・・老人力とは撹乱する力  
                  「死」を引き受けて「恐いもの」なし
                  福沢諭吉の言葉で「一身にして二生を経る」

テレビで顔は知っていたけれど 姜尚中さんという名前を知らなかった
本を出していることさえ 女将さん のコメントで知って
図書館で探して この1冊を
読んで良かったと思う 嬉しい1冊となった
姜尚中さんてほんとうに頭の良い人だね
難しい政治 経済 文学 哲学 社会学を易しい言葉で語ってくれる

漱石やウェーバーと100年の開きを挟んだ私たちとの「二つの世紀末」
戦争という中間点で折り返して元に戻ってきているような気がするという

一番印象に残った言葉は「アテンション」  「承認のまなざし」
家族以外の社会的な他者から、自分の存在を認められることだという
「アテンション プリーズ」しか思い浮かばない私だったけど(笑)
確かに 人が一番つらいのは誰からも無視されることだ
ねぎらいのまなざしをもらうことで 安心してそこにいることができる
著者は「相互承認」の関係をひろげていく中で
「私が私として生きていく意味を確認したら 心が開けてきた」といっている

最終章の「一身にして二生を経る」 これがいいね
自分と言う一人の人間の中で二つの人生を生きてみたい
氏のもうひとつの人生候補の中身を知って破顔一笑 より親しみが湧いてきた

そういう意味でなら すでに人生を多面的に生きてきている女は強いよ(笑)
自分の中に 二つどころか三つも四つも いろんな顔をもっているもの
男も 鎧を脱ぎ捨てたら 人生もっと面白いかもね face02


  
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Posted by うたかた夫人  at 17:16Comments(7)読書

2011年02月05日

「天使の卵」今ごろ読んで



1994年  村山由佳 著
小説すばる新人賞 作品
(著者は後に直木賞も受賞)

美大を目指して浪人中の一本槍歩太は一足先に大学生となった斉藤夏姫と恋人同士。しかしある日、満員電車の中で出会った年上の女性に一目惚れしてしまう。以来、その女性のことが忘れられずにいた歩太だったが、思わぬかたちで再会する。精神を病んで入院している歩太の父・直規の新たな担当医として彼女が現れたのだ。彼女の名は、五堂春妃、なんと夏姫の姉だった。次第に春妃への秘めたる想いを抑えきれなくなる歩太。しかし、春妃には
ピュアで一途な歩太の気持ちを受け止めることができないある理由があった



恥ずかしながら 名前すら知らなかったぁ
ミリオンセラーとなって ドラマ化 映画化も face08
まあ そのようなことはよくあることで・・・どんだけ時代遅れなんだか face07
そして2日間 この作品のトリコとなってしまった
何かの検索中に 知らないひとのブログに導かれ
プロフィールの 「好きな本」の一番にこの本があった
ほかには?と見たら 懐かしい本 「満潮」メアリー・ヴェズレーも
へぇ~ そういう感性なら チョット読んでみようかなって


まぁとにかく 由佳さんという名前に 私は年齢差を感じちゃう
失礼ながら キャピキャピガールを想像してしまうのよ 
ところが ところが face08
この人の 表現方法の巧みさといったら!
デッサンを1枚1枚切りとって 200枚見せられたような錯覚に陥る

「偉大なる暗闇」をかかえた若い人の恋であり
それに精神病という大きな要素も加わっての「喪失」の文学なら 
かの「村上春樹」の「ノルウェーの森」を思い出すが。。。
亡羊とした霧の中を 雰囲気を読んでいく春樹の小説
 (どこまでも陰隠滅滅として退屈きわまりない)
よりも この作品の方がはるかに私の感性に鈴の音を鳴らしつづけた
 (春樹はマラソン 由佳さんはアーチェリー)

ただ ストーリーはねぇ  若い人向けだわね
「純愛」なんて 私はちっとシラケてしまう
だいたい「純愛」は素晴らしいなんて手放しで喝采できる?
まわりの人をキズつけないで「純愛」を貫き通せる?
「純愛」なんて この世にはないのだとさえ 私は思うのだワ

二人が幸せの頂点にあるとき ふっと 「死」を予感してしまった
私はこの本を図書館から借りてきて
なんの前情報もなく読みすすめたが この程度の読みはできる face03
「林真理子」よりも はるかに私の肌に合う作家だということがわかった face02

  抜粋 そうしてひと雨降るごとに、空気は磨きぬかれてくっきりと透きとおっていき
      ようやく雲が切れて陽がさすと、あたりは一面、蝶が鱗粉をまき散らしたかの
      ように光輝くのだった  - 秋がやって来たのだ。


             主人公のぼくは 画家志望だから 
             デッサンにカラーをのせて鮮やかに表現してみせる
  
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Posted by うたかた夫人  at 19:13Comments(4)読書

2011年01月28日

陽炎(かげろう)の島

典厩五郎 著
毎日新聞社 出版 (2001/05)
ISBN-13: 978-4620106236  

内容 (毎日新聞社より)
現代史に翻弄された謎の台湾高山族の末裔と人生に絶望した映画屋が最後に挑んだ大バクチ。現在と過去、史実と虚構が交錯する巨編
アジア・ノワール最新刊。

☆ 深刻な社会情勢のなかでは 
  甘口な性善説では説得力もなく
  人間の暗黒面を描いた映画や
  小説のことを「ノアール」という
 



図書館で 単に「陽炎」というキーワードだけで借りてきてしまったぁ
中はちょっと垣間見て 字も小さく かなりな長編で読み応えありそうってね
さて読もうかと裏表紙をみて 「アジア・ノワール」とあるではないか ありゃぁ~face07

先日はアメリカのフィルム・ノアールを観たばかりだってのにぃ。。。。icon10

ところが 6冊借りてきた中で 一番面白かった icon22
ちょうど2年前に読んだ「ポジティブ・スパイラル」(服部真澄)の読後と似ていた
そっちは社会派 こっちはサスペンスだけどね 
マイナー作家ながら 長編ながら テンポよく読ませてくれた 実に面白いicon16
日曜日 3度の食事を作っただけで 顔も洗わず本に食いついて完読 icon22
一度ピンポ~ンなったけどね こういう日は居留守を決めこむの face03
  (これを黙って許してくれるダンナがエライね!face06
で・いまはダンナが読んでいるのだわ face02
  
台湾の高山族「タオシャン族」は 普通の2倍の長寿民族だそうだ
それも若々しいままで face08
このことが謎ときのキーワードになっている
     実際に泰山(タイシャン)というのはあるけど その辺のことは不詳 

読み終わると 映画「アイランド」の映像が鮮やかに思い出された
クローン技術が発達し、長生きをしたいという人間の欲望が
映画のような未来社会の夢を生み出しているのかもしれないね

小説の主人公が映画監督なので 映画についての記述も捨てがたい
     現在のハリウッド映画は、技術は最高なのに過去の名作に及ばない
     それは人間自身が全盛期を過ぎて 衰退へと向かっているからではないか
     人間への愛情とこだわりが、映像に血液と活力を与える
     人間ほど神秘的なものは、この世にありません



  ☆ 読み終わった 歴史好きのダンナの感想は " そんなに面白くない "  face10
  
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Posted by うたかた夫人  at 11:00Comments(6)読書

2011年01月16日

人を惹きつける声

声の魅力って大きいわ

いくつになっても老若男女にファンの多い 吉永小百合さん
独特の風貌としゃべりの戦場カメラマン渡辺陽一さん
テレビでおなじみの政治学者 姜尚中(かんさんじゅん)さん

この三人に共通しているのは

声が低く柔らかい という

好意を抱くか否か
とりわけ女性は男性の声を重要視する
調査結果もあるそうだ  
   (私だけじゃあなかったのね)

かつて若山弦蔵さんのナレーションで                        
「ジェットストリーム」 聞いていた世代だから          
むべなるかな と思う                     北原義典著 講談社新書


          
私は電話相手の仕事柄 耳ざといほうだと思う
女の声の喧騒のなかで仕事をしている
一番耳障りな声は 甲高くておおきな声 face07
経営者は こういう声を元気がよくて良いって推奨してるんだわ
私は 営業の声は低くというのが信条だ
だいたい 甲高い声と一日つきあってごらん
疲れるわぁ~ 5分で勘弁してよって言いたくなる
それから 鼻濁音を使わない人 (・・・・ガ)


そうは言っても 人と人って 相性かなとも思う 
肌が合う 合わないってさ  理屈じゃないよね icon23  

  
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Posted by うたかた夫人  at 12:40Comments(10)読書

2011年01月06日

女刑事 雪平夏見



  年末年始に読む本を図書館から
  6冊借りておいた
  読みたい本があったわけではない
  猛烈に活字に飢えていたから
  なんでもいいの
  タイトルに「月」が入っていたので
  安直ながら手にして・・・

  6冊完読 一番面白かったのは
  
  「アンフェアな月」
  秦 建日子 著 (ハタタケヒコ )
   (女かと思っていたら男だった)
  刑事 雪平夏見
   (女刑事だった・・)





【ストーリー】
生後3ヶ月の赤ん坊の誘拐事件が発生する。母親が錯乱し、警察が本格的に捜査に乗り出したのは
事件発生から実に8時間が経過していた。
特殊班に駆り出された雪平は、母親による狂言ではないかと疑うが、直後に犯人と思しき人物から
電話が入る。要求は「娘に見合うだけのものを用意しろ」という曖昧なものだった。



この作家の「推理小説」という本がドラマ化されていたと言うが 私は知らなかったぁ
主演が篠原涼子だったというから それだけで興味がわなかったんだと思う
刑事 雪平夏見がもうめちゃくちゃカッコイイのだワ
「無駄に美人」というがまさにぴったりとはまるキャラクター
長身170cm ミスユニバースにも出られそうなムダのない肢体
白い肌 大きな瞳 高い鼻梁 ストレートヘアー(すべてが手入れされてないが)
刑事としては検挙率ナンバーワンを誇る敏腕でありながら
小学生の娘(離婚して別居中)の気持ちはまったくわからない(それを悩むのも好感)

今までにないタイプの女性刑事がどう犯人を追いつめていくのか icon10
早く結末が知りたくて、どんどん読み進めてしまった face02


これがドラマ化されるとしたら 主演は?  
「天海祐希」しかいないなぁと 私は思うのだけど。。。


作者は脚本家でもあるので 区切りがよく読みやすい書き方をしている
初めのこのような文章が とてつもなく魅力的で すぐに私はのめりこんでしまうのだ


    時はさまざまなスピードで流れる。
    ある種の者には、氷河のように遅く。ある種の者には、矢のように速く。
  
    深く眠ってしまえば、夜は一瞬でしかない。
    しかし、それが出来ない人間には、夜は果てしなく長い。

    外で浮気をしている者には夜は一瞬だが、
    家で相手の帰りを待つ人間には、夜はべらぼうに長い。 


返本の際 またこの作家の本を借りてこよっと icon23  
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Posted by うたかた夫人  at 07:00Comments(9)読書

2010年11月30日

嫌いな人というのも実は自分の一部


  「まわりみち極楽論」
 
  朝日文庫

   内容(「BOOK」データベースより)
  「極楽」は「幸福」のようにキリのない欲望なのではなく、
  ちゃんと誰もが辿りつける心と体の状態のこと。
  しかもそれは、
  生きていてこそ実現できるのである(著者)。
  せっかくの人生、「楽」の境地にあるべし!芥川賞作家
  にして現役僧侶が送る、もう一つ深い人生相談。




先に読んだ「中陰の花」より こちらの方が読むのに手まどった 文庫本だからね
というか もっと哲学的だな 速読は私にはムリだし。。。
現役の僧侶が芥川賞をいただいたというので
著者のところには電話やお手紙などでの人生相談が殺到してしまい
個々の対応が間に合わず 「それならこの本を読んでください」と言える本が生まれた
できるだけ易しく深く 話すように書いたという

人生相談って 人間関係の悩みが一番多いという
人間関係次第で世界がバラ色なったり鉛色に沈んだり・・・
人間関係というのは もしかしたら永遠のテーマかも (あれ 嫁姑問題では?)
これは 相手に勝とうとせず 相手の言葉をよく聴くことだという
「嫌いな人と出会う意味」という項では
おそらく自分にとって最も気づく必要のある自分の一部だからと思いますと
今まで意識したくなかった自分の姿なのだと


このあたりどうかな face04
あの「鏡の法則」野口嘉則著 を思い出す
世の中は すべて自分の想いの投影であるって。。。う~~ん
見つめる風景はそうだと思うけど。。。どうもねぇ
「鏡の法則」は心理学らしいけど 断定されちゃうと 私はあまのじゃくだから。。。



最終目標に到達することを優先して 
多少のことは目を瞑ったほうがいい場合が多いという
言葉を換えれば 細かいことは笑って許してしまっても
揺らがない自分を持てればいいわけで・・・・
あまり「正しさ」を目指さないことですね
「正しさ」というのは 人を苦しめるだけですし 自分も結局苦しくなるのだ
何が正しいか分からないと思い定めて 
たとえば 死後の世界など考え始めたらキリがない
だから 考えるんじゃなくて 感じる 味わう のが
生きている醍醐味なんだって
その力が一番なのが 瞑想 というわけで 瞑想しましょう icon23


極楽へ 行かんと思う心こそ 地獄へ堕つる 初めなりけれ   あちゃ~
(無意識でいることの清らかさ 目指したらすでに極楽じゃないのです 欲の世界)

文中には 短歌 俳句 どどいつ まで引用されていて面白い

色は匂へど 散りぬるを 我が世誰ぞ常ならむ
有為の奥山 今日越えて 浅き夢見じ 酔ひもせず
この歌は懐かしい!
こどものころ 中学生までご詠歌にあわせて 時には舞台で私は踊っていたので
モチロン 意味などさっぱり face07
こういう字の こんなに深い意味をもった歌なんだぁ~って今更ながら icon10

  おんかーかーかびさんまーえいそわか   こんなのも門前の小僧なんだ私
「お経は人をどこに 導くのか?」という項はとても興味深い
さすが お坊さんだわ~ ここが一番わかりやすくて納得させられる

一冊持っていてもいいなと思う本だわ
  
  
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Posted by うたかた夫人  at 07:00Comments(6)読書

2010年11月21日

この世とあの世との中間のお話

  こういうお話嫌いな方はスルーしてね

  10年ほど前の芥川賞受賞作

   著者   玄侑宗久(僧侶)

  ずぅ~と以前に新聞記事で読んだだけで
  なぜか 頭の隅にこびりついてた著者
  で アマゾンで中古本 1円で購入 face07
  本好きは基本的に本を汚さないもんだねicon22
  (職場の移転により図書館にも遠くなって)


寺の住職夫婦の日常が 平易な柔らかい言葉で書かれていて好感
この世とあの世の中間を、中陰と呼ぶらしいが それさえ知らずに読んでみた
人間死んだらどうなるのか、魂とは何なのか face04
極楽と地獄はあるのか
そんな質問を夫にぶつけてみても(いろんな宗教に通じていると思って)
" さぁなぁ そういうことは誰にもわからないよ "
と まぁ考えるだけ無駄ごとと一蹴されてきたが。。。
この本の中にもあるんだよね
あの釈尊でさえ 死後のことについての質問に一切答えなかったという face08

「おがみや」ウメさんが自分の死ぬ日を予言して その日を迎える
予知能力というか 仏教では神通力と呼ばれる不思議な能力を持つ人が
いることも事実である
今どきは icon13 が放っておかなくて かえって疑心暗鬼にさせられるが
私は子供のころから そのような予知能力をもった人々を この目で見てきた
たしかに 理解しがたい出来事はときどき起こるのだ
そして 何かの折に 一条の光が見えたりすることもある
住職夫婦の見た光
妻の手なぐさみによってさまざまな色に織りなされる「こより」
庭の睡蓮にさす朝陽の美しい光景など
読者にも色鮮やかな光景を想像させて 心が浮き立つ
どんどん読み進められて 1時間半くらいで読破
この著者が気になるねぇ  またなにかお取り寄せだな
  
タグ :葬式


Posted by うたかた夫人  at 07:00Comments(7)読書

2010年10月24日

ステーキ宮(豊科店)

  知人とステーキランチに行きました icon28



 

  ここは(株)アトムグループの
  ファミレスなんですねぇ

  この外観のステキなこと!
  店内も落ち着いた雰囲気で
  ゆっくりお話もできましたし
  店員さんも感じ良いです


 
スープバーとドリンクバーがついても1300円ほどでした
   (コーンポタージュ オニオン ベジ トマト コラーゲンのスープ)
写真はありませんが ライスとカフェラテをいただきました

私は知らなかったけど 宮のタレが有名なんですね
なにしろ私ステーキを食べることは ほんとに稀なのですよ
家で食べるにしても冷凍のサイコロステーキを夫婦で6個くらい face10

宮のタレは加熱処理もしてなく 《生たれ》 というのが気に入りました
タマネギ ニンニク 醤油 酢のみというシンプルさに 
すりおろし生野菜で 3週間熟成 というのですから
うわぁ~酵素がいっぱいじゃ~ん face02
酵素信者のワタクシメには最高のタレということになっちゃうのですよ
ご飯にかけても食がすすみますね

身体に入れる水分は できるだけ生水で(酸素が生きている)
素材もできるだけ加熱しないで生で 素材の味をそこなわないよう
これが食に関する私のこだわりですが
とはいってもねぇ 要はバランスが一番!

ステーキ宮 お友だちを連れて行きたいお店です
でも いつものB型4人組はダイエット志向? (ウソ!空念仏)
牛130gなんて face08 ってとっても近寄れない雰囲気 なのですよface03
  





  
タグ :外食


Posted by うたかた夫人  at 19:00Comments(2)読書

2010年10月05日

SF落語集 星新一

  昭和60年発行
  角川文庫

  「内容」
  ある日の午後。にぎやかな街のなかに突然裸の男と
  女が現れた。20歳くらいの美しい二人は、
  腰のあたりを大きな葉っぱでおおっているだけ。
  すぐに警察に連行された二人は、男はアダム、
  女はイブと名乗り楽園から追放されて来たのだと話す
  たちまちテレビ局が目をつけ、専門家はさまざまな説
  を唱えて論議をするが、どうしても本物としか考えられ
  ない――そして事件がおこった!
                     SF落語集全10篇



うん これはショートショートより読み応えがあるね

女にもてなかったことが心残りの男3人が
それぞれの身体の得意の部分1/ 3づつをつなぎ合わせて
合成人間になるが・・・おかしくて悲しい「心残り」
  男って仕事 地位 財力があっても女にもてないと心残りみたいね

こちとらにはなにが面白いのか、ちっともわからねえことに研究熱心な科学者が
ふと気がついた。青春という貴重な時期を空費してしまった。これから
燃えるような恋をするのだと、媚薬をつくるが・・・オチが拍手の「ほれられた男」

オオカミ男をもじった話・・・「オオカミそのほか」
想像力を大きく広げるイマジネーション・ガスの発明・・・「倒れていた二人」
おかしな患者と医師団の立場が逆転する・・・「ふ~ん現象」
これらのオチも ゾッとさせられるよ

核戦争で人類が消滅したあと、アダムとイブが必要になるという前提で
神は二人を待機させてるのでは・・・表題の「おかしな先祖」

好みは分かれると思うけどね 
おかしくも恐ろしい星ワールドを是非ご覧あれ。

時あたかも icon13「世にも奇妙な物語」がオンエアーされてるね
夫が見ているけれど 私には見ているヒマがない icon10

    我が意を得たりのセンテンスがあったので嬉しい♪
    「博士は更に熱中し、夢うつつの中で改良へのアイディアを得たりし、」
    いつだったか やはり松本清張の推理小説の中で
    刑事が犯人に結びつく閃きを朝の夢うつつの中で得たというのもあったしね

    これはもう 寝床での夢うつつの時をぐだぐだと抱きしめていたいよね~face05
  
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2010年09月24日

星 新一「悪魔のいる天国」


  星 新一の本を一番読んだのは
  高校時代だったナ
  友人が彼のファンだったからというだけで
  
  夫の蔵書は6帖の小住宅を書庫として
  独立して建ててある
  その中に この本を見つけた(S50年発行)



面白いね 
昔 読んだときとは全然違う感覚で読み進めた
出版されてから30年以上たっているのに 
本の内容は褪せるどころか ますます光を放っているではないか
これだけ平易な言葉でSF短編を書けるって
星 新一は ホント 頭の良い人だぁ
  (当然か 彼は東大出 しかもれっきとした科学の修士生だったのだ)

いくつか 面白かったものは 最後のオチがいいなと思うものばかり
  天国  ピーターパンの島  誘拐  デラックスな金庫  肩の上の秘書  
  ゆきとどいた生活 etc

天国はどんなに夢の楽園なんだろう なんていう妄想は
このショートショートを読めば 完全に打ち砕かれてしまう
首尾よく天国へ行かれた男が ほどなくして嘆くのである
" どなる上司と 面白くもないワイフと 出来そこないの息子との生活がなつかしくて "
という「天国」の最後のオチが一番印象的だ

最後のオチに持ってゆく前に、いかに工夫をしながらその過程をつないでいるか
これは 落語の手法だね
  ( この最後のオチのある文章が上手いのはigotenさんだよね )

もう一冊 「おかしな先祖」も一緒に見~つけた
これはどうも SF落語らしい  
次はこれだな
  
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2010年06月21日

閑のある生き方


老後の幸福とは? 
私は「団塊世代」の人間です
この大勢の人々が定年を迎えました
60代以降をどう能動的に生きるのか
はつらつと生きなければまずいような
微妙な窮屈さを感じています
そして 圧倒的に経済力のある世代でもあります(ウチは違うよ)
だから 商業主義の格好のターゲットになってはいませんか

もっと自然体でいいのではないですか
ず~と働きづめできたのですから
ご苦労さま お疲れさま
あとはゆっくり 日々を愛しんで暮らしたいのです
生活の中の物音を においを
朝夕の光の微妙な変化を
そして それらをつつむ自然の気配を楽しみながら暮らしたいと思うのです


なるほど 今の老年期はお金もかかるし 不安もないではありません
これは 覚悟をして 暮らしを簡素化してみるしかありません

  
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Posted by うたかた夫人  at 07:00Comments(4)読書

2009年11月30日

幻の光


思いがけなく拾い物だった face01

「幻」「光」このキーワードに反応して
なにげに手にした本。
宮本 輝は好きな作家だ。
なのにこの作品を知らなかったなんて face10

映画化までされていて、
ベネチア国際映画祭金賞受賞作品
だったたとは。知らなかったー!




【ストーリー】
祖母の失踪という幼い頃の思い出を引きずるゆみ子は、子どもを授かり、夫の郁夫とともに幸せに暮らしていた。しかしある日、動機がわからないまま郁夫は突然自殺をしてしまう。再び愛する者を引き止められなかったゆみ子は、悔恨の思いを秘めながら奥能登へと嫁いでいく……。


このタイトルに魅かれて購入、期待通りだった。
というよりサプライズでさえあった。★★★★★
この作者の短編は初めて読んだのだけど。(81頁)

夫の自殺が全編を覆っている。
原因が分からないから女はずっと引きずられている。
日本海の荒涼とした風景に「死」を織りまぜて なんとも表現できないような
全体を通して薄くもやのかかったような 風景画みたいな作品だ。

もうこの世にいない人に話しかけずにはいられない寂しさ。
心が届かない哀しさ。
その人にまつわる風景から、音から、匂いから、逃げたいのに。
女のもう一つの心は酔いしれて、不思議な歓びもはっきり感じてしまうのだった。
そう、死に魅入られてしまった女が、ゆらゆら陽炎のように風景を霞ませる。
その中で海がきらきらと光っている描写が印象的だ。

   緑色ののっぺりした海に、ひとかたまりになってちかちか光ってる部分が
   ありますやろ。あれは何でもないただの小さい波の集まりなんや。
   ときおりああやって光が海面で踊りはねるときがあって、さざ波を一部分だけ
   一斉に光らせるんや。それで遠くにいる人の心を騙すのやて・・・


貧しく、辛く、やりきれない哀しさの中に、明るい光もさしていて、暗さはない。
最後は素晴らしく印象に残るシーンだ。
(映画は江角マキ子主演だそうだが、DVDで観たいものだ)
まるで、モネの絵「印象 日の出」を連想させる icon12

   ・・雨戸を開いた。真冬とは思えん、のどかな朝焼けが、沼みたいに静まりかえっ
   てる海を照らしてました。朝焼けに染まり、いこってる炭火が一面に敷きつめられ
   たような、雪とも思えん赤い初雪が、道や瓦や防波堤や砂浜に積もってた。
   ・・・雪の敷きつめられた砂浜を歩いて行くとめのさんは、朝焼けの真っ赤な光に
   ふちどられ、何か神々しい姿を浮かびあがらせているのでした。
   

このラストは「命の輝き」に満ちている。
読んでいて、つい村上春樹と比較している私自身に気づいたが、
「ノルウェーの森」のようなやりきれないウツウツ感がない分、宮本の方が好きだな。
 
  
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Posted by うたかた夫人  at 07:00Comments(4)読書

2009年10月04日

神様のカルテ

 第十回小学館文庫小説賞受賞作!
  心温まるヒューマンドラマ。小学館
 
 この本を興文堂さんのマルモさんの
  ブログで知って図書館にリクエスト。
  だいぶ待って手元にきたら、
  おニューだった。第1号!
  しおりが処女のままじゃん face05
 
 後に数人つい
 ているから期
 日までに返し
 てと言われた
 人気本なんだ。

【 医療の現場から人間賛歌
 生死を分ける過酷な医療の現場から、ユーモア溢(あふ)れる人間賛歌が誕生しました! 夏川草介氏は人生で初めて応募した本作により、第10回小学館文庫小説賞を満場一致で受賞。30歳の現役医師が綴(つづ)った、読んだ人すべての心を温かくする物語です。(小学館・1260円)サンケイ新聞より



作者は、信大の付属病院に勤める医師。
主人公は、信州にある「24時間、365日対応」という過酷な病院で働いている内科医。
夏目漱石を敬愛するあまり古風な話しぶりを院内でもするため変人扱いされ、
山岳写真家の妻ハルさんを愛するアウトローな青年医師である。

松本が舞台とあらば、アチコチにはは~んてな固有名詞が散りばめられている。
どこの病院かも。特に産婦人科が閉鎖になったくだりで、やはり icon23
3部作になっているが、
1話(満天の星)を読んだところで、正直投げ出したくなってしまった。
軽いタッチでどんどん読み進められるが、うん?コレが?う~ん face07

2話(門出の桜) 3話(月下の雪)で心温まるヒューマンドラマだとうなづけた。
最先端医療と、片や医療の底辺を支える田舎の緊急病院。
年寄りやアル中や末期ガン患者と向かい合い、ともに時間を過ごす。
ここに、最先端医療は必要なのかという医師の疑問。
病んで孤独の辛さの渦中にいる人の孤独をやわらげてあげたい。

《 死にゆく人に、可能な医療行為全てを行う、ということが何を意味するのか、
 人はもう少し真剣に考えねばならぬ 》
 はっきり問いかけている。
人工呼吸の機械で無理やり酸素を送り込み、数々のチューブにつないで、
回復する見込みのない人に、大量の薬剤を投与する。
これで心臓が動いている期間が数日のびるかもしれない。
だが、それが本当に" 生きる "ということなのか?
彼は、末期ガンの孤独な老婆に 《できることの全て》 をほどこすことをやめる。
このことに、題名の「神様のカルテ」が生まれたのだと解釈した。

老婆は主人公に感謝の手紙を残してあった。
死ぬときまで、周りの人、看護師たちを気遣い癒しの言葉を忘れない。
    (私はいったいどんな最期を迎えるのだろうか。。。。)

主人公の名前は、「一止」(いちと)。一文字にすると「正」
 これがなかなか意味深なのだ。 (興味ある人は読んでみてね)
  
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Posted by うたかた夫人  at 17:00Comments(4)読書

2009年09月18日

楽天発想 (最大の味方は自分自身である)

  いい言葉はいい人生をつくる・・・斉藤茂太 ③

   【以下抜粋】

ものごとは、必ず、よい面と悪い面が半分づつだ。 
陽があれば、その影になる部分は陰。
陰陽は常にセットになっている。

ポジティブな反応をしてみよう。
考え方をほんの少し変えてみるだけで、180度変わる。
良い面に目を向ける方法は、うつの治療にもちいられる。
専門的には、 認知のゆがみを直す という。


自分で自分を評価できなくて
どうして長い人生を生きていかれるだろうか。

自分は自分自身の最大の味方であり
最高の評価をする人間でありたい。


そうあってほしい100%の世界から少し引いた60%や80%で生きていこう。
年齢や状況に応じて、自分に合った「分」を決めると良いと思う。
 
                                           おわり
 ☆ モタさんの本を読むと、いつも心が楽になる。さすが精神科医だわ~☆


 ★ わぁ~い igotenさん出来たーicon22 IEのバージョンUPってトラブルの元なのね~ホントだ ★
    悪戦苦闘(笑) でも今ね、すっごく感動しちゃったわ(低レベル)ありがとうございました。face02
  
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Posted by うたかた夫人  at 07:00Comments(4)読書

2009年09月09日

ケンカのあとの" 昨日はごめん "

いい言葉はいい人生をつくる・・・斉藤茂太 ②

   
 【 以下抜粋 】 
 
  人間関係で一番むずかしいのは、
  ケンカや意見の対立をしたときにどう振る舞うか。
  人にはメンツもあれば 意地もある。



こちらが 「下手(シタテ)に出て謝れるものか」と意地を張っていると
実は相手も そう思っている。
だいたい どうでもよい人とはケンカなんぞしないものだ。
どうでもよい人なら、何を言おうと無視してしまえばよい。

この人は大事な人だ。だから意見の違いを調整しておきたい。
こうした思いが発展してケンカになるのではないだろうか。

ケンカをした後、一番よいのは、さりげなく振る舞うこと。 
謝るのも 「昨日はごめん」 ぐらいでよいと思う。 

大仰に詫びられたら、詫びられた方が身の置き所がなくなってしまう。

  
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Posted by うたかた夫人  at 07:00Comments(3)読書