読書

うたかた夫人

2011年10月24日 07:00

  2000年発売 (ぶんぶんさんからの借本) 
  本作は、絵画に狂わされた人間たちを描いた物語
  である。ファン・ゴッホ幻の作品が、もしも存在
  したら。8枚目の「ひまわり」―が明らかになると
  ともに,ストーリーはハードにアップテンポに展開し
  ていく。ひょっとしたら百億円を超えるかもしれない
  幻の名画をめぐって,ヤクザとの息詰まる攻防戦。

  ファン・ゴッホ作の『ひまわり』を安田火災が落札、
  同『医師ガシェの肖像』をある個人が落札したと
  いうニュースに驚いた日を思い出させる。。当時
  の日本は、バブル経済の真っ只中。

目的も理由も明らかにされぬまま,主人公の周囲で確実に「何か」が動き始める。それと並行しながら,主人公の過去が―自殺した妻英子との過去が語られていく。
どんでん返しの繰り返しだ。スピードと構成に定評ある藤原伊織。好きな作家である。
面白かったけど、わたしとしてはヤクザの登場ということでちょっと引いてしまうなぁ


  こちらは  藤原伊織にしては ちょっと意外な叙情的?短編集
  6作品からなるが 表題の「雪が降る」がやはり一番良かったワ

  母を殺したのは、志村さん、あなたですね。
       少年から届いた短いメールが
       男の封印された記憶をよみがえらせた。

ちょっと小腹が空いて サンドウィッチでもつまんでみようか的な気分で
軽~く読めた
藤原伊織にしては意外な作品で 未だに違和感が残るぅ
やはりこの作家は長編にこそ本領発揮だな
早すぎた死が惜しまれる



ロシア語通訳者である「米原万里」は
ユーモアのセンス抜群   
彼女との出会いはもうかなり以前の
読売新聞の日曜版の連載だった
とにかく面白い連載で
好感度もどんどん上昇  

この本はわたしには小難しい歴史が
語られていて
その辺は飛ばして(読んだと言える?)
一ヶ所抜粋を ↓

 ロシアの小咄

天寿を全うしたブレジネフ書記長は、当然の成り行きとして地獄に落ちた。
入り口のところで門番が待ちかまえていて、注意する。
「ブレジネフさん、地獄に来た以上、必ず罰を受けなくてはなりません。
書記長とて逃れるすべはありません。ただし、どんな罰を受けるかは、
選択できる仕組みになっています。自分で見て選びなさい」
そう言われてブレジネフは、地獄を一通り見学した。
すると、レーニンは針の山でもがき、
スターリンはグツグツ煮えたぎる釜の中で悶えていた。
ブレジネフは思わず身震いをしたほどだ。
ところが、なんと向こうのほうではフルシチョフがモンローと抱き合っているではないか
ブレジネフは手をたたいて叫んだ。
「これだ。わたしにもフルシチョフ同志と同じ罰を与えてもらいたい」
地獄の職員が言った。
「とんでもない。あれはフルシチョフではなくて、マリリン・モンローが受けてる罰ですぞ」
                  (ロシア小咄集『独裁者たちへ!! 』講談社)


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